若い世代の人々は、ニューエイジ運動のことをあまりよく知らないことでしょう。何となく憧れを感じる人と、何となく軽蔑を感じる人と、ニューエイジへの印象は大きく二分するかもしれませんね。
ニューエイジの実像は、どのようなものなのでしょうか?中立的な立場からニューエイジを解説します。
ニューエイジとは?
ニューエイジとは、1970年頃の欧米において、宗教信仰とは異なる形で展開された霊的な探求の流れです。ムーヴメントのことを「ニューエイジ運動」と呼び、その実践者たちのことを一般的にニューエイジ、またはニューエイジャーと呼びます。
「新しい世代」というような意味ですね。
欧米におけるスピリチュアルブームは1970年頃の「ニューエイジ運動」。
欧米において、宗教信仰とは異なるかたちで霊的な探求が行われるようになったのは、「ニューエイジ運動」によるものです。今の若い人はあまり知らないかもしれませんが、1970年頃に、アメリカを中心に盛んに起こりました。
ニューエイジ運動=スピリチュアリズム+ナチュラリズム。
ニューエイジ運動は、スピリチュアリズムとナチュラリズムを足して2で割ったような特色をしています。「Love and Piece」という言葉がポップスの歌詞などでよく見かけられますが、これはニューエイジ運動から生まれた言葉です。
彼らは、霊的な探求において、「平和に暮らしたい」ということをとても強く望みました。
ニューエイジ運動には「貨幣社会を壊そう」という精神性があった。
彼らの平和を乱していたものの1つが「資本主義」「貨幣社会」でした。
会社の不誠実な経営と、従業員への粗末な扱いに嫌気がさして、賃金労働をするよりも自給自足や物々交換をして暮らそう、という動きが盛んに起こりました。
彼らは労働を放棄しようとしましたが、その代わり自給自足をしようと考えました。また、質素で良いと考えました。
アセンテッドマスターや大天使たちが提唱しているようなアセンション的スピリチュアリズムを、彼らは取り組んでいたわけです。
願望成就に夢中になる日本のスピリチュアリズムとは毛色がかなり違います。
この頃の彼らは、アセンテッドマスターをチャネリングしてアセンション文明に関する情報を知っていたわけではありません。東洋の、道教仙人や仏教僧院の暮らしから、自給自足的生活が人間の理想ではないかと考えたのです。かなり良い感性をしていると言えます。
ニューエイジャーはインドに修行をしに行った。壮大な修行だった!
ニューエイジ運動の特徴の1つに、「修行」があります。ニューエイジャーの多くは、インドへ赴いて行って、座禅瞑想やヨガの修練をしました。その期間は短くても2週間、1カ月を超えることもざらでした。彼らは座禅瞑想を毎日続けることで、霊視サイキックを獲得しました。
また、ヨガの修練をすることで体を鍛え、さらには菜食やヘルシーな食生活をすることで、スリムで引き締まった肉体を獲得しました。
インドに修行しに行った欧米人には、あのビートルズのメンバーたちも挙げられます。彼らはインド修行の前とあととで歌詞の深みに大きな違いがあり、修行後の哲学的な歌詞の世界観によって、世界的英雄の評価を得たのです。
ジュリア・ロバーツさん主演の「食べて、祈って、恋をして」という映画に、ニューエイジャーたちのインド修行の一部を垣間見ることができます。とはいえ、1970年代の修行施設は映画の中のものように小綺麗なものではなく、インド特有の劣悪な環境にも耐えなければなりませんでした。当時は旅行インフラも粗末で、そんな中、英語のまるで通じないインドに旅に出ることは、壮大な冒険でもありました。こうした冒険もまた、彼らにとって修行としての価値があったのです。
そのままインドのエコヴィレッジに住み着く人もいた。
インドに旅立ったニューエイジャーたちには、そのままインドのコミューン(自給自足の共同体)に住みつく人も多くいました。
または、生まれた国に戻って、郊外の空いた土地に独自の共同体を作って、芸術ばかりしながら自由に暮らす人々も数多くいました。
ニューエイジ運動の修行やナチュラルな生活は、女性も数多く参加した。
こうした修行やナチュラルな生活は、女性も数多く参加していました。
彼女たちは、「お金は要らない」「テレビも要らない」といったナチュラリズムを強く打ち出しましたが、しかし美意識は失っておらず、お金をかけずに草花でオシャレをするという、独特のファッション文化を作りました。いわゆる「フラワーガール」と言われるものです。
今でも、ミュージシャンのPVなどで、白い一枚布をまとってかんむりをかぶり、お花の装飾を体中につけた美しい女性が出てくることがありますが、これはつまり、ニューエイジ運動のフラワーガールの模写です。
ニューエイジ運動はアセンション文明の暮らしに近いものがあった。
こうしたニューエイジ運動は、アセンション文明の暮らしに近いもので、彼らの取り組みはなかなか的を射たものでありました。
それは、彼らのスピリチュアリズムの根源が東洋思想にあったからです。インドのヨガや仏教の座禅などは、当時の西洋思想や宗教にはないものでした。
キリスト教を無視してこうした異思想を取り入れることは、とても勇気の要ることでしたが、彼らは戒律や慣習よりも、己の理想に従ったのです。そのためニューエイジは、年配の人々には非常に煙たがられ、批判もされました。
やがて、ニューエイジャーたちが、座禅瞑想で培ったチャネリング力によって宇宙存在や大天使からのメッセージを下すようになると、そうした年配層も彼らの動きに心を開くようになっていきました。
ニューエイジ運動は、大麻の肯定とともに堕落していく・・・。
しかし、こうしたニューエイジ運動は、大麻の吸引を肯定したことから、やはり危険因子のレッテルがぬぐえないものであり続けました。そして実際、平和運動や自給自足運動の陰に隠れて、大麻に溺れるニューエイジャーは少なくありませんでした。
結局、ニューエイジ運動が大衆権を得られずに終わってしまったのも、大麻吸引という危険要素によるものが大きかったようです。
2000年初頭のスピリチュアリルブームは、ニューエイジ運動の流れをくむもの。
2000年初頭に日本に巻き起こったスピリチュアルアルブームは、牽引者としては江原啓之さんですが、中身はそうしたニューエイジャーたちが積み上げた、「アレンジされた東洋思想」です。
日本人はこれまで、インドのヨガやアジアの仏教思想、道教や禅の思想を無視してきましたが、西洋人が語ることによって、それを絶賛するようになったのです。
2010年を過ぎて、「引き寄せの法則」「具現化の法則」といった願望成就を目指す新手のスピリチュアリズムが流行しましたが、これらはニューエイジ運動のスピリチュアリズムとは全く異なるものです。
ニューエイジャーたちは、魔法の力で理想社会を造ろうなどと他力本願なことは考えませんでした。
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